訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
叶空の質問に一瞬陽鞠と永翔は目を合わせる。
「いつまで、って?」
「いつまで、とあのぱぱ?」
「ずっとだよ、叶空」
永翔はいつになく真剣な表情で叶空を真っ直ぐ見据える。
「ずっと一緒にいる。ずっとパパだよ」
「ぱぱ!」
叶空は小さな腕を大きく開いて永翔に、パパに抱きついた。
永翔も愛おしそうに叶空を抱きしめる。
「叶空……大好きだよ」
そう呟いた永翔の瞳には涙が滲んでいた。
陽鞠の目にも思わず涙が浮かぶ。
ずっと夢見ていた、ずっと憧れていた。
永翔と叶空と、三人で家族になること。
絶対に叶わないと思っていた夢が叶って、こんなにも幸せなことはないと思った。
「ぱぱ、ないてる?」
「泣いてないよ」
「ままも、ないてる?」
「な、泣いてないよ!」
「嬉しいんだよ」
そう笑って永翔は陽鞠のことも叶空のことも、ぎゅうぎゅう抱きしめる。
ここが副社長室だということも忘れて。
有紗はやれやれと肩を竦め、マチ子はあらあらと微笑ましく見つめていた。
そんな空気ですら幸せに満ち溢れていた。