訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。

最終話、幸せの空



「皆様、本日はRAL国際線パリ直行便をご利用いただき誠にありがとうございます。機長を務めますのは、赤瀬永翔でございます――」
「! ぱぱ!」


 機内アナウンスで永翔の声が聞こえると、叶空が嬉しそうに声をあげる。
 陽鞠はニッコリ微笑んで答える。


「そう。この飛行機ね、パパが操縦してるんだよ」
「ぱぱが?」
「今からとっても長いお空の旅になるけど、パパが頑張って安全に操縦してくれるからね。叶空もいい子にしてようね」
「うんっ」


 永翔の操縦する飛行機に乗るのは、一年ぶりにして二度目。国際線は初めてだった。
 今日はこれからパリでのウェディング&ハネムーン旅行に旅立つ。永翔の仕事との調整を重ねていたら入籍してから一年後になってしまったが、永翔の操縦する飛行機でパリへ向かうのはとても嬉しかった。

 副社長・有紗が特別にパリ直行便へのフライトとそのまま十日間の休暇をプレゼントしてくれたおかげで、実現した。
 その後鬼のようなスケジュールを入れられ永翔は辟易していたが、実の姉へのリスペクトが隠せていないことを陽鞠はわかっている。

 更に有紗は陽鞠と叶空にビジネスクラスの航空券をプレゼントしてくれた。
「ファーストクラスじゃなくてごめんね」と言っていたが、充分すぎるほどだ。

 叶空が十二時間以上に長期フライトに耐えられるか不安もあったが、ビジネスクラスならゆったりと過ごせるし子どもがいるということでサポートもしてもらえる。


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