訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
陽鞠にとっては二回目の挙式ということもあり、写真がメインのフォト婚にすることになっていた。
誰も招待することはない、三人だけの挙式だ。
陽鞠は二回目なので何となく気恥ずかしさもあり遠慮したが、永翔は初婚だ。
永翔の両親だけでも呼んだらどうかと提案したが、永翔は断った。「ややこしくなるからいい」と。
永翔の両親は離婚し、その後それぞれ再婚しているらしい。少し複雑な思いがあるのかもしれないと思い、ハネムーンも兼ねたウェディングにすることにした。
「いかがでしょうか」
「自分じゃないみたいですね……」
前回は和装だったため、ウェディングドレスを着るのは初めてとなる。
純白のドレスに身を包み、ヘアメイクも綺麗に整えてもらって鏡に映る自分が別人のように思えた。
白無垢を着た時も綺麗にしてもらったはずなのに、あの時は何故か自分が無機質に思えた。
好きでもない人と互いの利益のためだけに結婚し、これから夫婦としてやっていかなければならないという覚悟をしていたからだろう。
だけど今は、心から純粋に笑えている。この先のことが楽しみで仕方なくて、ワクワクしている。
「まま、かわいい」
「ありがとう、叶空!」
叶空も蝶ネクタイをしておめかししている。待っている間に髪を整えてもらったようで、朝はあった寝癖がなくなっていた。
「陽鞠……見違えるほど綺麗だよ」