訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 ひとしきり絡め合った後、軽々しく横抱きにされてあっという間にベッドの上に下ろされていた。
 そして再び深くて濃密な口付けが降り注ぐ。


「ん……っ」


 これはある意味新婚初夜なのだろうか、とぼうっとする頭の片隅で陽鞠はぼんやり思った。
 そんなことを考えていたらいつの間にか衣服は脱がされ、陽鞠の体のあらゆる場所に口付けが落とされる。


「んっ、あ……っ」


 もう何度もしているのに、いつも以上に敏感に反応してしまうのはいつもと違う異国の地だからだろうか。
 パリに着いてからずっと非日常を過ごしているようで、気持ちが高揚しているのかもしれない。


「ねぇ陽鞠、次にパリに来る時は――家族が増えてるかもね?」
「えっ」


 永翔は少し意地悪な笑顔を浮かべ、びっくりする陽鞠の唇に愛おしげにキスを落とす。
 そこからはもう何も考えられなかった。

 ただ目の前の永翔のことだけで頭がいっぱいだった。
 何度も「愛してる」と囁かれ、身も心もとろとろに溶かされてしまう。

 もしも家族が増えたら、きっともっと幸せな未来が待っているのだろう。
 そんな日がくることを願いたい。

 だけど今はまだ、夫婦だけの時間に酔いしれていたいと思った。


「私も愛してるよ、永翔さん」



 fin.


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