Thirty’s
その様子を見た山本が


「失礼だけど、君、お名前は?」


と聞いて来るから


「沖田総一郎と申します。」


と名乗ると、一瞬、彼の目がキラリと光った・・・ような気がした。


「私の高校、大学時代のその・・・先輩なんです。」


「そうですか、不躾に失礼しました。僕は山本慎太郎、厚生労働大臣の山本の政務秘書官をしてます。それじゃ、唯さん。失礼します。」


笑顔で唯に挨拶すると、山本は大股で離れて行く。その後ろ姿を何とはなしに見ていると


「山本大臣には、ウチの本社が大臣の地元のリゾ-ト開発に携わった時にお世話になってね。以来、親しくさせていただいてて、私が子供の頃、何度か父のお供でパーティなんかに行くと、慎太郎さんが遊んでくれたりしたのよ。」


唯がそんなことを言って来るが


「そうですか。」


俺は特に興味もなく、答える。


「それより、今日は終わったら、反省会と明日の打ち合わせしよ。」


「何言ってるんです?明日は引っ越し現場の実習で、今朝より早いんですよ。体力的にもきついし、今日は早く寝て、明日に備えて下さい。」


「ケチ。」


俺の言葉に唯は一瞬、唇を尖らすと、でもおとなしくエレベ-タ-に乗り込んだ。
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