Thirty’s
◇ ◇ ◇

「もしもし・・・って何なんだよ、一体?」


何がなんだかわからず、俺が切れたスマホに向かって、ブツクサ言っていると


「どうしたの?」


由夏がキッチンから顔を出す。


「今、沖田から電話があってさ。」


「沖田くんから?珍しいね。」


「なんか、えらく沈んだ声を出してるから、どうしたって聞いたら、お前がいるならいいって、すぐに切られた。」


「どういうこと?」


「わからん。」


「私に聞かれちゃまずい話なのかな?・・・って聡志、まさか私と加奈に隠れて、沖田くんと何か悪いこと企んでるんじゃ?」


なんて言って、睨んで来るから


「そんなわけねぇだろ。でも一体どうしたんだろうな・・・?」


俺たちは揃って、首を捻るしかなかった。

◇ ◇ ◇

通話を切った俺はひとつ、ため息を吐く。誰かに話を聞いてもらいたかったんだが、この話を今、由夏さんに聞かれるのは、やっぱりまずいだろう。


(でもこんな状況で、思い付いたのがかつての女房役である塚原だなんてシャレになんないな・・・。)


なんてくだらないことを考えながら、スマホをしまい


(さて、本当にこれからどうするかな・・・?)


なんて悩んでいると


「あれ?総一郎、総一郎じゃん!」


素っ頓狂な声がして、振り向いた次の瞬間


(おい、マジかよ・・・。)


満面の笑みで、俺に駆け寄って来る三嶋理沙(みしまりさ)の姿に、俺は呆然と立ち尽くしていた。
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