Thirty’s
「だからさ、私にしとけばよかったんだよ。そうすれば、今頃は子供もふたりくらいいてさ、幸せな家庭を築いてると思うよ。」


「あのな・・・。」


「総一郎はさ、どこぞの大企業のお嬢様に振られてから『恋愛は身の丈に合った人とする』って、ずっと言ってたじゃん。なのに、よりによってキャリアの国家公務員なんて、ハイスペックな人を選んで・・・。」


「加奈は確かにキャリア官僚だけど、もともとは高校時代のクラスメイトだ。」


「そんなこと言ったら、お嬢様だって、高校の後輩だったんでしょ?」


ここで会話が途切れる。だいたい、久しぶりに会った後輩と、なんでこんな会話になってるんだと、少し我に返って考えていると


「とにかく総一郎は人が良すぎる。」


また何やら言って来る。


「あの人、あなたと付き合い始めた途端に、よりにもよって、奥さんのいる人に口説かれて、フラフラとそっちに行っちゃって、あなたを一回裏切った人でしょ?」


「お前、いい加減にしろ。その言い方が完全に間違ってるとは言わないけど、事実を正確に表しているとも言えないぞ。それにあのことは、俺と加奈との間では、ちゃんと解決してるんだ。それをお前にとやかく言われる筋合いはない。」


とうとう俺はキレた。


「こんな話をするつもりで、ここに来たんなら、もういい。」


そう言って、憤然と席を立った。
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