Thirty’s
「待って!」


大股で店を出た俺を、三嶋が追いかけて来る。


「何だよ?」


振り向きもせずに言うと


「ごめん、あなたを怒らせるつもりじゃなかったんだよ。ただ久しぶりに会ったのに、総一郎が元気がなくて、心配になったから・・・気に障ることを言ったんなら謝ります。ごめんなさい。」


そう言って、頭を下げている気配がするから、俺は彼女を振り向く。


「もういいよ。本当に久しぶりに会ったのに、俺も悪かった。じゃ、これで。」


「待って。」


「まだ何かあるのか?」


「ある。」


三嶋は真っすぐに俺を見る。


「今日会ったのは、本当に偶然。だけど、私はあなたに、会いに行こうとずっと思ってた。」


「どうして?」


「あなたが、好きだから。」


「三嶋、お前・・・今更、何を・・・。」


思わぬ言葉を投げ掛けられて、息を呑む。いや、三嶋の俺に対する思いを知らなかったわけじゃない。でも、俺はどうしても、コイツを妹にしか見られなくて、その思いを受け入れられなかった。最後に会った時も、そうハッキリ伝えて、彼女も納得してくれたはずだったんだ。なのに・・・。
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