Thirty’s
「あなたたちが三年以上もグズグズしてるからだよ!」


「三嶋・・・。」


「頑なだね。」


「えっ?」


「最後のお別れの時、『理沙』って呼んでくれて、キスまで交わしたのに、今日はまた『三嶋』呼びなんだね。」


「それは・・・。」


「まぁそれはいいよ。とにかく、私はあなたが好きだった。ううん、今でも好き。でもあなたは桜井加奈を選んで、私の入り込む余地がないって、思い知らされたから、仕方なく諦めたんだよ。ただそれだけ。」


「・・・。」


「でも、今日会って、確信した。私にもまだ付け入るスキがあるって。」


「勝手なこと、言うな。」


「それこそ今更でしょ。こっちは勝手にあなたを好きになって、勝手に今まで諦め切れなかったんだから。だから改めて、勝手にアタックさせてもらう。そのつもりでいて。じゃ、今日はこれで。」


そう言って、クルリと背を向ける三嶋。


「おい、ちょっと待てよ。」


俺は声を掛けるけど、三嶋は振り返ることもなく、スタスタと歩き去る。


(自分の言いたいことだけ言って、なんて奴だ・・・。)


腹が立ったが、でもアイツを追い掛けることが出来ない。


(なんて日なんだ、今日は・・・。)


思わずため息が出る。どっと疲れを覚えて、俺はしばし立ち尽くしてしまっていた。
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