Thirty’s
第十五章 揺れるふたり
目の前の内線電話が鳴る。まさかなと思いながら、受話器を取った私は、聞こえて来た声に思わず顔をしかめる。
『俺だ。』
もはや、名乗りもしない。この電話、必ず私が取るとは限らないのに・・・。
『話がある。ちょっと、部屋まで来てくれないか?大事な話だ。』
何が大事な話よ・・・そんな思いがもたげて来たが、口には出せない。
「かしこまりました。」
慇懃に答えると、受話器を置く。
毎日ではない。でも、こうやって仕事終わりに、山本さんに呼び出されることが明らかに増えた。
相手は大臣政務秘書官、無碍には出来ない。でも、行ってみれば大した話ではない。食事にも誘われるけど、それはなんだかんだと理由をつけて断っている。
大事な話とか言ってたけど、何を言って来るんだか・・・。何を考えてるのか知らないけど、そろそろ打ち止めにしてもらわないと・・・。私は一本、釘を刺すつもりで、席を立った。
「失礼します。」
やがて、秘書官室に入った私に
「おう、来たか。」
山本さんは気さくな声で言う。
「今日は、何の御用でしょうか?」
と尋ねた私の声は、ちょっと尖っていたかもしれない。
「さっきも言ったが、大事な話だ。ま、掛けてくれ。」
対する秘書官は、そんなことは意に介さないように言うと、ニヤッと笑って見せた。
『俺だ。』
もはや、名乗りもしない。この電話、必ず私が取るとは限らないのに・・・。
『話がある。ちょっと、部屋まで来てくれないか?大事な話だ。』
何が大事な話よ・・・そんな思いがもたげて来たが、口には出せない。
「かしこまりました。」
慇懃に答えると、受話器を置く。
毎日ではない。でも、こうやって仕事終わりに、山本さんに呼び出されることが明らかに増えた。
相手は大臣政務秘書官、無碍には出来ない。でも、行ってみれば大した話ではない。食事にも誘われるけど、それはなんだかんだと理由をつけて断っている。
大事な話とか言ってたけど、何を言って来るんだか・・・。何を考えてるのか知らないけど、そろそろ打ち止めにしてもらわないと・・・。私は一本、釘を刺すつもりで、席を立った。
「失礼します。」
やがて、秘書官室に入った私に
「おう、来たか。」
山本さんは気さくな声で言う。
「今日は、何の御用でしょうか?」
と尋ねた私の声は、ちょっと尖っていたかもしれない。
「さっきも言ったが、大事な話だ。ま、掛けてくれ。」
対する秘書官は、そんなことは意に介さないように言うと、ニヤッと笑って見せた。