Thirty’s
「昼間、沖田くんと会って来た。」


「また『SHIRATORI』本社に御用がおありだったんですか?」


「いや、彼と話す為だ。」


ハァ?総一郎にあなたが何の話があるって言うの?全く意味がわからないんだけど・・・。


「そろそろ彼にも現実を理解してもらいたいと思ってな。」


平然と言って来る秘書官。


「どういうこと、ですか?」


「彼は加奈にふさわしくないってことだよ。」


「なっ・・・。」


突然の言い草に、思わず言葉を失う私に


「君は俺の横にいるべきなんだ。」


秘書官は決めつけるように言う。しばし、彼の顔を見てしまったが


「何をおっしゃってるのか、ご自分でわかってらっしゃるんですか?」


ようやく反駁の言葉を口にした。


「もちろん。加奈もそう思わないのか?」


「思う訳ないでしょ!」


失礼を顧みず、声を荒げる。でも


「厚労省のキャリア官僚として、これからエリ-ト街道を歩んで行かなきゃならない自分が、彼と人生を共にして、何の得があるのか。加奈もそろそろ冷静に考えてもいい時期、いい齢だと思うが。」


「そういうことを損得で考えるべきじゃないと思います。」


「損得で考えるべきなんだよ、そういうことは。」


そう言って秘書官は笑う。
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