Thirty’s
「言い古された言葉だが、恋愛と結婚は違う。損得勘定、打算のない結婚なんてあり得ないんだ。」
「でも、それが全てではないと思います。」
「それはもちろんそうさ。俺はちゃんと加奈が好きだ、だからこうして話している。」
「私の気持ちはどうなるんですか?」
「加奈は俺のことが嫌いか?」
「少なくとも、恋愛対象、結婚相手として見たことは一度もありません。」
「はっきり言ってくれるな。」
苦笑いを浮かべる秘書官を、キッと睨んだ私は
「だいたい、先輩は昔、周りの女子にこう言ってたはずです。『俺は地元から嫁を貰わなきゃならない。だから、色目使ってもムダだぜ』って。」
正直、先輩に狙われているのでは、と感じたことが全然なかったわけではない。でも他ならぬ彼自身が放ったこの言葉が、それはあり得ないと私に思わせていたのは事実だ。
「あの頃は確かにそう思ってた。でも、令和に入ってから、国民の意識は俺の地元のような田舎でも、急激に変わった。そんなのは古い、ダサい。今は、家柄だけを売りにするような女性より、加奈のように自立して、自分で輝ける女性こそが政治家のパートナ-としてふさわしいんだ。だから君は、俺と結婚しても、地元に嫁ぐなんて意識を持つ必要はない。これまで通り、東京で中央でバリバリと活躍すればいい。是非、そうしてもらいたいと俺は思ってるんだ。」
そう語った秘書官の言葉が、熱かったことは確かだった。
「でも、それが全てではないと思います。」
「それはもちろんそうさ。俺はちゃんと加奈が好きだ、だからこうして話している。」
「私の気持ちはどうなるんですか?」
「加奈は俺のことが嫌いか?」
「少なくとも、恋愛対象、結婚相手として見たことは一度もありません。」
「はっきり言ってくれるな。」
苦笑いを浮かべる秘書官を、キッと睨んだ私は
「だいたい、先輩は昔、周りの女子にこう言ってたはずです。『俺は地元から嫁を貰わなきゃならない。だから、色目使ってもムダだぜ』って。」
正直、先輩に狙われているのでは、と感じたことが全然なかったわけではない。でも他ならぬ彼自身が放ったこの言葉が、それはあり得ないと私に思わせていたのは事実だ。
「あの頃は確かにそう思ってた。でも、令和に入ってから、国民の意識は俺の地元のような田舎でも、急激に変わった。そんなのは古い、ダサい。今は、家柄だけを売りにするような女性より、加奈のように自立して、自分で輝ける女性こそが政治家のパートナ-としてふさわしいんだ。だから君は、俺と結婚しても、地元に嫁ぐなんて意識を持つ必要はない。これまで通り、東京で中央でバリバリと活躍すればいい。是非、そうしてもらいたいと俺は思ってるんだ。」
そう語った秘書官の言葉が、熱かったことは確かだった。