Thirty’s
「別に隠してたわけじゃ・・・。」


「隠してたよね。」


「隠してたんじゃない、言いそびれたんだ。」


「なんで?」


「それは・・・君に余計な心配を掛けたくなかったから。」


ここで会話が途切れた、沈黙が流れる。


(それって結局、私を信用してなかったってことでしょ?)


そう言いたかったが、そこまで言ってしまったら、もう後戻り出来なくなってしまう。そんな気がして、私はその言葉を飲み込んだ。


「でも、僕が間違ってた。それは謝るよ。」


すると、総一郎が頭を下げて来た。


「そうだよ。私がこの前、唯さんからどんなに不安にさせられたかも知らないで・・・。」


それに対して、私が思わずこう口を滑らせてしまったことが、この場の空気を変えた。


「そうだ。」


思い出したと言わんばかりの声を大にする出した総一郎が


「唯と会ったんだって?」


と逆に聞いて来る。


「うん・・・。」


「君の方こそ、なんで話してくれなかったんだ?」


「ごめんなさい。」


大事なことを言えずに黙っていたのは、結局私も同じ。今度は私が、総一郎に頭を下げる。そんな私の姿を少し見ていた総一郎は


「結局・・・僕たちは二年以上一緒に住んでて、でも本当に大切なことになると、何も話せない関係だったんだな・・・。」


ため息交じりにそう漏らした。
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