Thirty’s
第十六章 帰れない夜
あれから、私たちは会話もなく、夕食も摂らなかった。時間差でベッドに入り、背を向け合ったまま夜を過ごすと、やがて気まずい朝がやって来た。
ほとんど同時に目を覚まし(というより、実際はお互い、ほとんど眠れてない・・・。)
「おはよう。」
「おはよう。」
と挨拶は交わしたけど、あとは無言で身支度を整えると、朝食も摂らずに、そそくさと、でもやっぱり時間差で部屋を出た。
昨日の夜から、何も食べてない。さすがに空腹に耐えかね、出勤途中にカフェに入って、モーニングを頼む。トーストとコーヒ-で人心地をつけながら
(こんな朝は初めてだな・・・。)
そんな思いに浸る。
同棲生活三年目で、初めての喧嘩。でもそれはずっと仲良しだったというより、いかに私たちが、これまですれ違いの生活をして来たかの証なのかもしれない。
(結局、今までの私たちは、本音をぶつけ合うことなんて、ほとんどしてこなかったっていうことなんだな・・・。)
改めて、そんなことに思い至って、落ち込んで来る。だけど、このまま物思いにふけっているわけにもいかない。
(さ、行こう。)
腕時計に目をやって、席を立つ。今日も仕事は容赦してくれない。やるべきことを頭の中で整理しながら歩き出した私の脳裏に、ふと山本秘書官の顔が浮かぶ。
『君を妻にしたいと思っている。俺は自分が沖田くんより加奈のパートナ-にふさわしいと自負している。そして、君のことが好きなんだ。』
あの時は、遠くに聞こえたはずの言葉が、なぜか今は、はっきりと耳の中に甦って来る。
私は思わず、それを振り払うように頭を左右に振ると、足早に歩き出した。
ほとんど同時に目を覚まし(というより、実際はお互い、ほとんど眠れてない・・・。)
「おはよう。」
「おはよう。」
と挨拶は交わしたけど、あとは無言で身支度を整えると、朝食も摂らずに、そそくさと、でもやっぱり時間差で部屋を出た。
昨日の夜から、何も食べてない。さすがに空腹に耐えかね、出勤途中にカフェに入って、モーニングを頼む。トーストとコーヒ-で人心地をつけながら
(こんな朝は初めてだな・・・。)
そんな思いに浸る。
同棲生活三年目で、初めての喧嘩。でもそれはずっと仲良しだったというより、いかに私たちが、これまですれ違いの生活をして来たかの証なのかもしれない。
(結局、今までの私たちは、本音をぶつけ合うことなんて、ほとんどしてこなかったっていうことなんだな・・・。)
改めて、そんなことに思い至って、落ち込んで来る。だけど、このまま物思いにふけっているわけにもいかない。
(さ、行こう。)
腕時計に目をやって、席を立つ。今日も仕事は容赦してくれない。やるべきことを頭の中で整理しながら歩き出した私の脳裏に、ふと山本秘書官の顔が浮かぶ。
『君を妻にしたいと思っている。俺は自分が沖田くんより加奈のパートナ-にふさわしいと自負している。そして、君のことが好きなんだ。』
あの時は、遠くに聞こえたはずの言葉が、なぜか今は、はっきりと耳の中に甦って来る。
私は思わず、それを振り払うように頭を左右に振ると、足早に歩き出した。