Thirty’s
唯との社食ランチも、今やほぼ定例となってしまった。当初は専務が社食使うのかと驚いたが、この会社というか「SHIRATORI」グル-プでは、時には総帥の白鳥社長ですら、使うらしい。


その総帥のお嬢様専務と並んで食堂に現れれば、当然、周囲の耳目を集めることになる。だが、俺たちが「高校-大学時代の先輩、後輩」であり、その縁もあって、現在は俺が専務のサポート役を務めていることも知られるようになった。


唯も当然ここではベタベタして来ることもなく、一定の距離を置いた態度でいるから、最近では当たり前の光景として受け入れられているようだ。


「午後は私、外出になってるから、さっきの件は進めておいてね。」


「わかりました。」


こんな会話だけでなく、もちろん雑談もするが、周囲に聞き耳を立てられても、特に困るようなことはない。もっと言えば、着任当初のように、夜の食事に誘われたりすることもなくなった。あくまで、今の俺と唯の接触は仕事上のものでしかなく、そこから外れることはない。


だけど・・・俺は知ってしまった。唯はやっぱり、俺を諦めてはいないんだって。それどころか、何か月も前に、加奈にこう言ってのけたんだそうだ。


『そろそろソウくんを返して下さい。』
『彼の横にいるべきなのは、この私なんです。』


なかなかに強烈な宣戦布告だ、なんて他人事のように言うのもなんだが、そう思わざるを得ない。


いや、ふたりきりの時の態度やさっきの発言なんかを思えば、そんなことは分かり切ってたはず。でも、俺はうまくあしらって来たつもりだったし、これからもそれは変わらないつもりだった。


俺と唯の関係は終わったんだ。そして、終わらせたのは俺じゃない、彼女なんだ。
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