Thirty’s
「さ、話聞こうか。」


出してもらったお茶を口へ運び、人心地ついた私の前に、そう言って、由夏は改めて座ると優しい笑顔を向けてくれる。悠を加えた私たち三人組は、いつもそう。誰かひとりが悩み、苦しんでいる時には、必ずあとのふたりが手を差し伸べ、話を聞いてくれる。私たちは、そうやって、共に成長して来たんだ。


「私、総一郎がわからなくなっちゃった。」


「加奈・・・。」


「だってさ、肝心なことを何にも話してくれないんだよ。君に心配かけたくない、不安にさせたくないって言って・・・でもそれって、私を気遣ってるようで、実は全然私のことを考えてくれてないってことと同じだよね?」


「具体的に、何があったの?」


「彼さ、GW明けに本社に異動になったんだよ。」


「それは聞いてる。」


「それからさ、ずっと唯さんと一緒に仕事してるらしいんだけど、そのことをずっと黙っててさ。」


「そうなんだ。」


「仕事上の付き合いだから、心配ないって言われたって、私、春に彼女から宣戦布告されてるんだよ。今回の異動だって、明らかにあの子の思惑が絡んでるとしか思えないじゃない。」


私の憤懣を、由夏は頷きながら聞いてくれている。


「それだけじゃないんだ。」


「どうしたの?」


「私さ・・・ある人からプロポ-ズされちゃったんだよ。」


「えっ、いきなり?」


さすがに由夏の表情が驚きに変わる。
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