Thirty’s
翌日、由夏に仙台駅まで送ってもらって、私は帰路についた。


「いい?ちゃんと真っすぐ帰るんだよ。帰ったらお夕飯の用意して、沖田くんが帰ってきたら、お出迎えして、『心配掛けてごめんなさい。』ってまずは謝る。話はそれからだからね。」


車からの降り際、心配そうに念を押す由夏の言葉に


「わかってます。じゃ、いろいろありがとう。」


笑顔で頷いて、私はドアを開けた。


やがて、新幹線のシートに身体を沈めた私は、改めて昨日からのことを思い出していた。本当に学生時代の頃のように、由夏は夜が更けるまで、私に付き合ってくれた。

◇◇

「ところでさ、加奈はなんて答えたの?」


「えっ?」


「プロポ-ズの返事よ。」


昼ご飯を終えてから、まず由夏に聞かれて、私は虚を突かれた。


「・・・そう言えば、何も返事してない。」


「どうして?」


「それは・・・すぐに返事をしろって流れじゃなかったの。『君が、君たちがよく考えてくれ。』って言われて、話が終わったから。」


「フーン。じゃ、もうひとつ。『君たちがよく考えてくれ』って言われて、実際にプロポ-ズされたことを沖田くんに話した?」


「話して、ない。」


「それ、アンフェアじゃない?」


「・・・。」


「あとさ。」


「うん。」


「私だったら、即答で断るけどな。」


「えっ?」


「いきなり、何の前触れもなくプロポ-ズなんかして来たら、『なんだ、コイツ?』って思うでしょ、普通。まともに取り合う話じゃないよ。まぁ、相手が相手だけに、すぐにノ-って言いづらかったのかもしれないけど。」


「そんなことはないけど・・・でも、山本さんはそんな軽い気持ちで言ったんじゃないと思う。」


「へぇ。庇うんだ、彼を。」


驚いたように言ってくる由夏に


「そ、そんなんじゃないよ!」


思わず、大きな声になってしまう。
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