Thirty’s
向かい合って、食卓に着く。


「いただきます。」


いつものように声を合わせると、私たちは箸を取る。


「おいしい。」


総一郎が笑顔で言ってくれる。


「本当?」


「うん。」


「よかった。」


私も笑顔で応える。だけど、それだけ・・・。


会話は続かず、あとは黙々と箸を動かす。


ううん、今までだって、いつもいつも賑やかに語り合いながら食べたわけじゃない。仕事で疲れていて、お互い黙ったままだったことなんて、何度もある。


でも、その時とは正直、空気が違う。やっぱり、ぎこちない。まだ仲直り出来てない、その現実を改めて、突き付けられているようだ。


『あとはちゃんと、お互いに逃げずに正面から向き合って話をすること。』


由夏の言葉が甦って来る。


(そう、逃げちゃいけないんだ・・・。)


自分にそう言い聞かせる。


やがて、食事を終えた総一郎が


「ご馳走様。じゃ、片付けは僕がやるから。」


と立ち上がろうとするのを


「待って。」


私は呼び止めた。


「話、しよう。」


そう言って、彼を真っすぐ見る。


その視線を受け止めるように、私を見返した総一郎は


「わかった。」


頷くと、席に着いた。
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