Thirty’s
「あの・・・。」
「あのさ・・・。」


声が重なる。何もこんな時に・・・私が一瞬、戸惑っていると


「由夏さんに言われた。」


総一郎が話し出す。


「加奈に『総一郎がわからなくなった』なんて、言わせちゃダメだって。」


「・・・。」


「そんなことを言われたあとで、本当に言いづらいんだけど・・・。」


一瞬躊躇ったあと


「実は加奈に話しそびれてることが、もうひとつある。」


と言い出す。


「三嶋さんのこと?」


私がそう返すと、驚いたような表情を浮かべる。


「なんで知ってるの?」


「本人から聞いた。」


「本人?じゃ、三嶋が君に会いに行ったってこと?」


「うん。」


総一郎の表情が険しくなる。そして


「ごめん。」


って言って、頭を下げるから


「それ、何について謝ってるの?」


思わず言ってしまう。


「えっ?」


「三嶋さんと会ったことを言わなかったこと?それとも三嶋さんが私の所に押しかけて来たこと?」


「加奈・・・。」


「前者なら謝ってもらって当然だけど、後者だったら、総一郎が謝るのはおかしい。でも正直、私には後者に聞こえたんだけど?」


「それは・・・。」


総一郎が言葉に詰まる。そんな彼に内心、ため息をつく。
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