Thirty’s
「とにかく三嶋と会ったのは偶然だし、そこでまぁアタックされたのも確かだけど、でも僕ははっきり断ったから。」


「そう?三嶋さん、まだまだファイト満々だったけど。」


「確かに、これからも勝手にアタックするとか言ってたけど、それは僕の関知することじゃない。」


総一郎はそう言い切った。


「わかった。その件については、あの時の話の流れで、言い出せなかったのは仕方ないとも思うし、今、総一郎の気持ちをはっきり聞かせてもらったから、もうそれでいいよ。」


その私の言葉に、総一郎の表情がやや緩むのが目に入ったけど


「それに・・・あの日、私も重要なことをあなたに言えてなかったんだ。」


と言うと、彼の顔がまた強張る。


「私、山本さんから、プロポーズされたの。」


「えっ?」


「『君を妻にしたい』、『好きだ』って。」


総一郎が息を呑んだのが、はっきりわかった。重苦しい空気が流れる。


どのくらい経ったんだろう・・・。


「そう、なんだ・・・。」


ポツンと言葉を発した後


「それで・・・返事は?」


由夏と同じことを聞かれた。


「してない。」


「してない?」


「うん。」


総一郎が一瞬、目を伏せた。そして


「そっか・・・。」


小さくそう言った。それだけ、だった・・・。
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