Thirty’s
◇◇(唯視点)

あ~あ、負けちゃった。お兄ちゃんがいた頃は、当たり前のように甲子園に行けていたんだけどなぁ・・・。


帰って、待ち構えていたお父さんに夕飯を食べながら結果報告。悔しがるお父さんに


「でも、後輩たちは頑張っていたよ。それに今回は力及ばなかったけど、新チ-ムは今年以上に期待が出来ると監督は言っていたし、また来年だよ。」


と言うと


「そうだな。学校側も選手のスカウトにだいぶ力を入れるようになってきてるし、その成果は着実に出て来ている。楽しみだ。」


笑顔になる。ちなみに私たち兄妹と同じ明協高校OBで、かつ野球部OBでもあるお父さんは、現在請われて多忙の中、学校の理事を務め、野球部再建に一役買っている。今日の私の試合観戦は、そんな父の代理としてであり、あくまで仕事してだったわけなのです。


「ところで、徹はいたのか?」


「たぶんいたと思うけど、でも向こうはあくまで記者として来てるんだから、会わないよ。」


「そうか・・・。」


渋い表情になった父に


「でもお義姉さんが舞と翼を連れて、来てたよ。」


と教えてあげると


「なに、孫たちが来てたのか?だったら、無理してでも行くんだったなぁ。」


会社での謹厳な表情はどこへやら、本気で悔しがっているから、笑ってしまう。


夕飯を終え、部屋に戻った私は、椅子に座ると、ひとつ息をつく。


(本当は、家でお父さんと夕飯食べてる場合じゃなかったんだけどな・・・。)


試合が終わり、公用車で家まで送ってくれたソウくんを、夕飯に誘ってみたが


「これから、公用車を返しに会社へ戻らないといけないので。」


あっさりと振られてしまった。
< 175 / 238 >

この作品をシェア

pagetop