Thirty’s
そう、ここは私と総一郎が一緒に暮らしてる部屋。私たちが喧嘩してようと、どうだろうと、それは変わらないはず。


なのに、総一郎は今、どこにいるの?何をしてるの?誰と一緒にいるの?


唯さん?三嶋さん?


途端に今度は不安が湧き起こって来る。


電話してみようかな・・・スマホをバッグから取り出して、番号をタップしようとして・・・手が止まる。


電話掛けて繋がらなかったら?繋がったとして、なんて言うの?


「今、どこにいるの!」
「こんな時間まで、どこの誰と一緒にいるのよ!」


なんて問いただしたら、売り言葉に買い言葉で


「そんなのお前には、関係ないだろう!」


なんて言い返されちゃったら、ますます険悪になっちゃうだろうし・・・。


結局、どうしたらいいのか、何て話せばいいのか、わからないまま、私は諦めて、着替えて、お風呂に入って・・・少し総一郎を待ってみたけど、帰って来る気配は全然なくて・・・。


(この前、私が帰らなかった時、総一郎はきっと今の私と同じような焦燥の時間を過ごしてたんだろうな・・・。)


そんなことに思い至り、今更ながら、申し訳ない気持ちが湧き上がって来る。


やっぱり電話してみよう、でも・・・そんな逡巡の時間を過ごしている内に時計の針は着々と進んで行く。


(もう、寝ちゃおう・・・。)


それが本当に正しいのか、全くわからないが、考えることに疲れてしまった。そんな言い訳を自分にして、私は寝室に向かった。


それから三十分ほど経った頃、ガチャリとドアの開く音がした。帰って来た、私は思わず、跳ね起きようとして、でも出来なくて・・・。


そうこうしてると、今度は寝室のドアが開いて


「ただいま・・・。」


総一郎の小さな声が聞こえて来た。だけど、私は答えない。少し様子を伺っていた彼が、ソッと扉を閉める。


つまらない意地と勇気のなさが、私をベッドに縛りつけたままにしていた・・・。
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