Thirty’s
「そうか・・・。」
私の顔を見て、そう言った秘書官は
「結論が出てないってことは、取り敢えずこの前の俺のプレゼンはまだ落選してはいない。その認識でいいな?」
確認するように聞いて来る。それに対して、私は敢然とノ-と言うべき、なのに・・・実際にはイエスともノ-とも言えずに、沈黙してしまっていた。
「わかった。」
ひとつ頷いて、立ち上がった秘書官は
「大臣政務秘書官を退任することになった。」
と告げて来た。
「えっ?」
意外なことを言われて、驚く私に
「二年後の参院選に出馬する。」
秘書官は冷静な声で続けた。
「前からそんな話はあったんだが、先日、地元の親父の後援会から正式に出馬要請を受け、熟慮の末、ありがたくお受けすることにした。」
「そう、ですか・・・。」
「親父もまだ五十代、政治家としては若い。俺の出番はもう少し先のことだと思っていたが、せっかくのチャンスを棒に振るのは、やはり政治家を目指す者として、あってはならないことだと思う。そこでだ。」
「・・・。」
「正式な出馬表明の席で、君との婚約も発表したいと思っている。」
私を真っすぐに見て、そんな言葉を発した秘書官に、息を呑む。
「前にも話したが、国会議員を志す男が、この齢になって独身は正直、世間体が悪い。」
「じゃ、私は世間体を取り繕う為の道具ってことですか?」
思わず、冷たい声で言ってしまうと
「そう言われてしまうと、身も蓋もないな。」
秘書官は苦笑いを浮かべる。
私の顔を見て、そう言った秘書官は
「結論が出てないってことは、取り敢えずこの前の俺のプレゼンはまだ落選してはいない。その認識でいいな?」
確認するように聞いて来る。それに対して、私は敢然とノ-と言うべき、なのに・・・実際にはイエスともノ-とも言えずに、沈黙してしまっていた。
「わかった。」
ひとつ頷いて、立ち上がった秘書官は
「大臣政務秘書官を退任することになった。」
と告げて来た。
「えっ?」
意外なことを言われて、驚く私に
「二年後の参院選に出馬する。」
秘書官は冷静な声で続けた。
「前からそんな話はあったんだが、先日、地元の親父の後援会から正式に出馬要請を受け、熟慮の末、ありがたくお受けすることにした。」
「そう、ですか・・・。」
「親父もまだ五十代、政治家としては若い。俺の出番はもう少し先のことだと思っていたが、せっかくのチャンスを棒に振るのは、やはり政治家を目指す者として、あってはならないことだと思う。そこでだ。」
「・・・。」
「正式な出馬表明の席で、君との婚約も発表したいと思っている。」
私を真っすぐに見て、そんな言葉を発した秘書官に、息を呑む。
「前にも話したが、国会議員を志す男が、この齢になって独身は正直、世間体が悪い。」
「じゃ、私は世間体を取り繕う為の道具ってことですか?」
思わず、冷たい声で言ってしまうと
「そう言われてしまうと、身も蓋もないな。」
秘書官は苦笑いを浮かべる。