Thirty’s
全く予期していなかった三嶋さんとの会食を終え、帰宅した私。


出迎えてくれる人はなく、今夜はひとり。そして、一緒に暮らしている恋人は今、遠く離れた空の下で、元カノと一緒にいる・・・。さっきはカッコ付けたこと言ったけど、でもやっぱり・・・私が心を乱していると、スマホが鳴った。


(誰?まさか、総一郎?)


とっさにそんなことを思ったけど、違っていた。


『もしもし、こんな遅くにごめんね。』


悠だ。


「ううん、大丈夫。今、帰って来たところだから。」


『そっか・・・今、ひとりなんだって?』


「えっ?」


『徹くんから聞いた。沖田くん、唯ちゃんと出張だって。』


「う、うん。」


私と総一郎が上手く行ってない、それもどうやら唯さんが原因のようだと知った先輩が、心配していろいろ情報を集めてくれてるらしい。お父さんの会社とは距離を置いている先輩だけど、やはりそこは御曹司、それなりのアンテナはあるようだ。


『それで徹くんが電話してるんだけど、唯ちゃんも沖田くんも出ないらしくって・・・。』


申し訳なさそうな声を出す悠。別に彼女のせいでもなんでもないのに、何か申し訳なくなる。でも、そっか。やっぱり電話に出ないんだ・・・。


「なんかいろいろ心配掛けてごめんね。先輩にもよくお詫びしておいて。」


『そんなことはいいんだけど、でも徹くんがすっかり怒り狂っちゃって、これから出張先に乗り込むって、息巻いてて・・・。』


困惑の声を出す悠に、申し訳ないけど、私は吹き出しそうになる。


(おんなじようなことを言っている人がまたいる・・・。)


でも、もちろん笑うことなんかできない。


「先輩に『ご心配掛けて申し訳ありません、でも大丈夫ですから』って伝えてくれる?」


『大丈夫って・・・加奈、どういうこと?』


悠が心配そうに聞いて来る。
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