Thirty’s
俺たちは、近くの公園に場所を移した。どこか落ち着いた店を探す・・・なんて余裕は今の俺にはなかった。


「それで、加奈はどこにいるって言うんだ?」


「どこにいるかなんて知らないけど、誰といるのかは知ってるよ。」


「山本、か?」


「ご名答。」


そう言って、三嶋はニコリと微笑むと


「私と桜井さんが役所の前で話してたら、いきなり割り込んで来て、そのまま彼女を連れてっちゃったよ。」


あっけらかんと続けた。


「だいたいなんで、お前は加奈に会いに行ったんだよ?」


「敵情視察ってとこかな?」


「なにぃ?」


「桜井さんの今後の出方を伺おうと思って。私たちは昔から宿敵だから、コミュニケ-ション手段なんてない。だから、直接会いに行くしかないんだよ。」


「宿敵って・・・それはお前が勝手にそう思ってるだけだろう?」


「そうかもね。私は前にも言った通り、勝手にあなたを好きになって、勝手に諦め切れなくて、勝手にアタックしてる。だから、あの人のことを勝手に宿敵、目障りな邪魔者だと思ってる。当然でしょ?」


「三嶋・・・。」


「その宿敵、邪魔者がこんな大切な時に、どっかに行っちゃった。そんなチャンス、逃す手はないからね。」


悪びれもせず、こんなことを言って来る三嶋の顔をしばし眺めていた俺だったが、やがてひとつため息をつくと


「三嶋、お前の気持ちは・・・。」


と言いかけたが


「唯さん、振ったんでしょ?」


そんな言葉で遮られてしまった。
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