Thirty’s
「そんなこと、言われても困るし、俺には関係ない話だって、思ってるよね?」


「・・・。」


「思われて当然。私でも逆の立場だったら、きっとそう思う。でも・・・そう思わないのが総一郎なんだよ。」


その三嶋の言葉に、思わずハッと彼女を見る。


「それがわかってたから、この話だけは、本当はしないつもりだった、したくなかった。同情や妙な責任感で『じゃ、お前にする』って言いかねない人だから、あなたは。」


そう言って、薄く笑う三嶋。


「そんなんで選ばれても、嬉しくないし、卑怯だもん。それくらいのプライドは持ってるつもりなんだよ、私も。」


「・・・。」


「じゃあ、なんで話したんだって言われるだろうけど・・・やっぱり、わかって欲しかったんだ。私はこのくらい真剣なんだって。もう後には引けない、背水の陣。そのつもりで、こうしてあなたと向き合ってる。いい加減な気持ちで、あなたにつきまとってるんじゃない。そのことだけはわかって欲しくて、話しました。卑怯なのは認めます、ごめんなさい。」


そう言って、三嶋は俺に深々と頭を下げると、改めて真っすぐに俺を見る。射貫かれそうなその視線に、正直少したじろぐ。なかなかヘビ-なことを告白されて、何を言ったらいいのかわからなくなっていた。


そして、三嶋の方も何も言って来ない。重苦しい空気が、俺たちを包んでいた。


「ねぇ。」


やがて、三嶋が口を開いた。


「あなたは私との未来って、考えてくれたことある?」


「えっ?」


「そもそも、私に告られて、どうしようかなって、考えてくれたことある?」


「言わなかったっけ?まさかお前に告られるなんて思いもよらなかったけど、そのあと、返事するまでお前のこと考えたって。」


「そっか。そして『お前は可愛い妹、後輩としか思えない』って言われちゃったんだった。」


そう言って、三嶋は苦笑いを浮かべた。
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