Thirty’s
しばらく、車の中に沈黙が流れた。


「沖田くんか?」


やがて聞かれ、私はすぐには答えなかった。


「やっぱり、彼なのか?」


「総一郎がどうするのかは、まだ知りません。」


「なに?」


「唯さんと何を話して、どんな答えを出して帰って来るのか、私はまだ何も聞いてません。」


「だったら、どうして・・・。」


「だから、会いに行こうとしてたんです。」


自分でも驚くほど、言葉は素直に出て来た。


「会って、私の気持ちをちゃんと伝えようと思ってました。総一郎がどんな答えを出したのか、それを聞く前に。」


「・・・。」


「もう、彼の答えを待ってから、自分の人生を決めるのはやめようって思ったんです。」


山本さんが私を見つめている。


「私は、総一郎と一緒にいたい。」


口にした瞬間、不思議なくらい胸の中が静かになった。


「これから先も、一緒に生きて行きたい。今は、それが私の答えです。」


そして、また沈黙が流れる。


山本さんは私から視線を外すと、ライトアップされた国会議事堂を見つめる。


やがて


「理解、出来ないな。」


低い声が聞こえて来た。


「彼と一緒にいて、君は何を得られる?」


そう言うと、彼は私を見た。
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