Thirty’s
加奈と婚約し、正式に結婚することになったことを会社に報告するのは、正直気まずいものがあった。
河北室長からは
「家庭を持つことになったんだから、責任は重くなるよ。これからはますます精励恪勤、専務をお支えしてちょうだいね。」
と難しい四文字熟語で発破をかけられ、その専務からは
「おめでとう。」
とは言ってもらったけど、その言葉が心からのものとは、とても受け取れなかった。
そして、この俺の選択が、思わぬところに波及しようとしていることを、まだ知らなかった。
◇◇
「話があるんだ。」
帰って来た徹くんが、テーブルに着くなり、私に言った。
「どうしたの?」
そのいつにない真剣な表情に、私は釣り込まれるように、夫の前に座った。
「会社を・・・新聞記者を辞めようと思うんだ。」
「えっ?」
思わず耳を疑った。
「どうしたの?急に。」
「ソウと桜井が正式に婚約したそうだ。」
「それは聞いてる。」
「それはそれで素晴らしいことだ、心から祝福したい。だが・・・俺とすれば、やっぱり唯のことを考えないわけにはいかない。」
「徹くん・・・。」
私は、厳しい表情でそう言う夫を見つめる。
「唯は今、荒波の中で頑張っている。俺には到底想像もつかないような厳しい日々を送っているはずだ。だからこそ、支えが欲しいと思うのも当然だと思う。」
「それが唯ちゃんにとって、沖田くんだったのね?」
「ああ。でも、ソウはそれを断った。全ては唯がかつて自分で下した決断が元になっているんだから仕方がない。唯に一方的に別れを告げられ、ソウがどんなに傷つき、苦しんだかは、俺もお前もよくわかっている。アイツがこれ以上、唯に振り回されることなんか、あってはならないんだ。」
「そうだね・・・。」
河北室長からは
「家庭を持つことになったんだから、責任は重くなるよ。これからはますます精励恪勤、専務をお支えしてちょうだいね。」
と難しい四文字熟語で発破をかけられ、その専務からは
「おめでとう。」
とは言ってもらったけど、その言葉が心からのものとは、とても受け取れなかった。
そして、この俺の選択が、思わぬところに波及しようとしていることを、まだ知らなかった。
◇◇
「話があるんだ。」
帰って来た徹くんが、テーブルに着くなり、私に言った。
「どうしたの?」
そのいつにない真剣な表情に、私は釣り込まれるように、夫の前に座った。
「会社を・・・新聞記者を辞めようと思うんだ。」
「えっ?」
思わず耳を疑った。
「どうしたの?急に。」
「ソウと桜井が正式に婚約したそうだ。」
「それは聞いてる。」
「それはそれで素晴らしいことだ、心から祝福したい。だが・・・俺とすれば、やっぱり唯のことを考えないわけにはいかない。」
「徹くん・・・。」
私は、厳しい表情でそう言う夫を見つめる。
「唯は今、荒波の中で頑張っている。俺には到底想像もつかないような厳しい日々を送っているはずだ。だからこそ、支えが欲しいと思うのも当然だと思う。」
「それが唯ちゃんにとって、沖田くんだったのね?」
「ああ。でも、ソウはそれを断った。全ては唯がかつて自分で下した決断が元になっているんだから仕方がない。唯に一方的に別れを告げられ、ソウがどんなに傷つき、苦しんだかは、俺もお前もよくわかっている。アイツがこれ以上、唯に振り回されることなんか、あってはならないんだ。」
「そうだね・・・。」