Thirty’s
「言うまでもないが、悠が認めてくれること。悠がこんな勝手なことを言い出した奴に、これまでのように付き合ってくれるのか、だ。」


「・・・。」


「俺の生活は劇的に変わる。これまでだって、不規則な生活でお前に、家のことも、子供たちのことも、ほぼひとりでやって来てもらってるのに、俺が家庭を顧みる時間はますます少なくなる可能性が高い。それに俺が会社に入れば、社長の息子として、これまではノ-タッチだっためんどくさい付き合いや人間関係に巻き込まれることになる。そして、それは妻である悠にも無関係なことではなくなるだろう。そんなことはごめんだ、聞いてない。お前が思っても当然だと思う。その気持ちを無視して、ひとりで突っ走るつもりはない。というか、お前を失ってまで、やることじゃない。だから・・・。」


「私が嫌だと言ったら、この話はなしってこと?」


口を挟んだ私に、一瞬驚いたような表情になった徹くんは


「当然だ。」


はっきりとそう言った。


「でも、私がノ-って言うわけないって思ってるでしょ?」


私が返すと


「いや・・・。」


思わず口ごもる徹くん。そんな夫を少し見ていたけど


「大丈夫、ちゃんと聞いてるから。」


そう言って、私は笑顔になる。
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