Thirty’s
エピロ-グ
その日。朝食を済ませた私は、スマホを手に取った。呼び出し音が鳴ること、三回。


『もしもし、おはよう。』


総一郎の声が聞こえて来る。


「おはよう、ちゃんと起きてたね。」


『いや、本当は少し惰眠をむさぼるつもりだったんだけど、おふくろに叩き起こされた。大事な日の前日にダラダラしてるなって。』


「厳しいね、お義母さん。」


『ホント、参ったよ。』


電話越しでも、彼が苦笑いしてるのがわかって、笑ってしまう。


「明日の準備は大丈夫?」


『男はそんなにやることないからね。君の方は?』


「万事OK、あとは明日の佳き日を待つばかり。」


『そっか・・・。』


ここで少し会話が途切れた。


「総一郎。」


私が声を出す。


「明日、遅れないようにね。」


『大丈夫さ。それより、君の方こそ、ちゃんと来てくれよ。』


「どういう意味?」


『前にプランナ-さんが言ってたじゃないか。新婦さんが当日、来ないとかって、たまにあるって。』


「何、バカなこと言ってるの?私がどんなに明日を指折り数えて待ってたか、あなたもその目で見てるでしょ?行かないなんて、ありえないから。」


『なら、安心した。』


そんな冗談を交わして、笑い合った私たちは


「じゃ、明日よろしくね。」


『こちらこそ、よろしく。』


最後にそう言い合って、通話を終えた。


明日は、いよいよ私たちの結婚式。当日、一緒に式場に向かうのは、なんか味気ないよね、ということで、昨日からお互いの実家に戻っている。


取り敢えず、総一郎の声を聞いて、落ち着いた私は、外出の準備を始める。
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