Thirty’s
私が向かったのは、明日、式を挙げるホテル。と言っても打ち合わせとかじゃなくて、そこのラウンジで、大切な親友ふたりと待ち合わせをしているからだ。


中に入ると、高校の頃から全く変わらないふんわり笑顔で、悠が私に手を振って来る。


「ごめん、待った?」


「大丈夫、私が早く着き過ぎただけだから。」


「お子さんたちは?」


「旦那と一緒に実家に行った。」


「そうなんだ。先輩大丈夫なの?ご実家、というかお父さんとは?」


「一緒に仕事始めて、そろそろ一年だからね。さすがにだいぶ雪解けしてるよ。」


「そっか、ならいいけど。」


なんて会話を交わしていると


「どうも、お待たせ。」


という声と共に、塚原くんに付き添われた由夏が登場。


「だいぶ、お腹ふっくらして来たね、由夏。」


「お陰様で。」


「でも、この妊婦さんが結構ガサツで、見ててヒヤヒヤするんだよ。ここに来るまでも、なんかドタドタ歩いてるし。」


「違うよ、聡志が神経質過ぎるだけ。」


なんて、やり合ってるのを見て、思わず悠と顔を見合わせて、笑ってしまったが、お察しの通り、結婚以来、なかなか子宝に恵まれなかったふたりに、ついに福音が届き、現在由夏は妊娠五ヵ月。


『加奈の式が、安定期に入ってからになるから、よかったよ。』


招待状を送った時に、こんなことを言っていた由夏だが、今日の集まりをここにしたのも、彼女たちが明日に備えて前泊しているからだ。
< 231 / 238 >

この作品をシェア

pagetop