Thirty’s
「桜井、今回は本当におめでとう。」


由夏を無事(?)座らせた塚原くんが、祝福の言葉をくれるから


「ありがとう。」


笑顔で頭を下げる。


「沖田をよろしくな。アイツは本当にいい奴だけど、優しすぎるのが玉に瑕だ。だから、必要な時は、遠慮なく喝を入れてくれ。」


「はい、お任せ下さい。」


私の返事に、笑顔になった塚原くんだが


「そう言や、君を『桜井』って呼べるのは、今日が最後だな。」


なんてことを言い出す。


「明日からは悠と同じように、『加奈さん』って呼んでもらえるのかな?」


いたずらっぽく聞くと


「当然、そうなるな。」


真面目な顔で、頷く塚原くん。


「でも、塚原くんたちにさん付けで呼ばれるのって、正直なんか照れ臭い。」


悠の言葉に


「でも、他に呼びようないだろう。白鳥さんたちは、松本さんの奥さんになったみどりさんを、未だに呼び捨てにしてるから、びっくりするけど。」


塚原くんは答える。


「あれは、徹くんたちも最初は『みどりさん』って呼んだらしいけど、みどりさんに『今更、他人行儀になに?』って怒られたんだって。」


「なるほど。」


などと話していると


「ちょっと、いつまでいるのよ。せっかく久しぶりに三人で楽しくおしゃべりしたいのに、少しは気を遣いなさいよ。」


由夏がなんか凄いことを旦那さんに言っている。


「うっせぇな。まぁじゃ、この母親の自覚が全然足りない我が妻が羽目を外さないように、よろしく頼むわ。」


「聡志!」


塚原くんも負けずに言い返すと、睨んで来る由夏を尻目に、サッサと退散して行く。


「あいつ・・・本当にデリカシーってものがない。昔っから変わらない。」


ブツブツ言っている由夏に


「相変わらず仲がいいね。」


と言ってやると、悠が横で吹き出していた。
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