Thirty’s
「ということで、やっとお邪魔虫もいなくなりましたから、いろいろと積もる話をしましょうか。」


由夏がそう言って、私と悠を交互に見る。


「私の時も由夏の時も、こんな三人で集まる時間なんか取れなかったからさ。今回、加奈が誘ってくれたの、本当に嬉しかったよ。」


「でも、考えてみたら、式の前の日なんて、大切な時間に私たちでよかったの?」


「今日を総一郎とバラバラに過ごすって決めてから、じゃどうしようかなって。夜は両親と食事するとして、昼間は・・・て考えたら、ふたりの顔がすぐ浮かんだ。ふたりと会って、いろんなことを話したいなって。」


「そうですか、それは光栄の至り。」


由夏がうやうやしく、私に頭を下げるから、テーブルに笑いが弾ける。


「とにかくさ、高三の秋なんて、いろいろとナーバスな時期に、ふたりの仲に入れてもらって。そうじゃなければ、間違いなく今の私はないんだから。感謝してる。」


「加奈はそう言うけどさ。まぁあの時も言ったような気がするけど、なんか当然みたいな顔して入って来たからさ。」


「うん、違和感なかったんだよね。」


「そっか。人間、図々しく行くことも、時には必要ってことだ。」


私の言葉に、また笑いが起きる。


「それから十二年・・・干支一回りだよね。」


「全員、三十路ですよ。花の女子高生が、明日加奈が式を挙げれば、全員既婚者。悠と・・・私はまだ予定だけどママ。考えてみれば・・・成長したね。」


「素直に齢を取ったって言いなさいよ。」


「あなたたちはね。既に三十一になったけど、私はまだ三十。」


既に今年の誕生日が過ぎた私と悠に対して、早生まれの二月生まれの由夏が変なところでマウントを取って来る。


「そういうのをね、虚しい抵抗って言うんだよ。」


「ノンノン。ここは大切なところですよ~。」


やり合う私と由夏を、悠が微笑ましそうに見ている。
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