Thirty’s
この後も、おしゃべりに花を咲かせていた私たちだったけど、楽しい時間は過ぎるのが早い。悠はそろそろ子どもたちのことが気に掛かる時間だし、由夏の身体も心配。そして私も両親との約束がある。


「名残惜しいけど、明日もあるから、そろそろ解散にしようか。」


という悠の言葉に、私たちは頷く。


「じゃ、おふたりとも、明日はよろしくお願いします。」


私は親友たちに頭を下げる。このふたりには、明日の披露宴でスピ-チを頼んでいる。


「頑張ります。私の時も、悠の時もスピ-チから逃げた加奈の為に、全力で。」


「また、そんな意地悪言う。逃げたんじゃなくて、遠慮したの。」


「はいはい、わかりました。」


そんな軽口を叩きながら、エレベ-タ-まで由夏を送って行く。


「塚原くん、まだ帰って来てないよね?」


「どうせ、今頃『沖田の独身最後の夜にカンパ~イ』とか言って、盛り上がってる頃よ。帰りは何時になるやら。」


「えっ、ひとりで大丈夫?」


「大丈夫、ひとりには慣れてます。シーズン中から。」


そう言って、笑顔を見せた由夏は


「加奈。」


「うん?」


「明日、楽しみにしてるよ。あなたの花嫁姿。」


そう言って、ウインクして、私たちに手を振ると、由夏はエレベ-タ-の中に姿を消した。


「本当に大丈夫かな?」


心配そうな声を出した私に


「さすがに由夏もおとなしくしてるでしょ。それより、加奈は新郎さんの心配をした方がいいんじゃない?」


悠が言って来る。


「えっ?」


「高校の野球部の仲間と飲んでるんでしょ?なんか塚原くんたちが調子に乗って、沖田くんを潰したりしなきゃいいけど。」


「そっか・・・。一応、総一郎にはあんまり羽目を外さないように言っといたけど、あとでもう一度、電話して釘を刺しとく。」


「その方がいいよ。」


そんなことを言いながら、私たちも歩き出した。
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