Thirty’s
「あのさ。」


「うん?」


「明日のスピ-チなんだけど・・・もし三十分くらいかかっちゃったらごめんね?」


「えっ?」


「ずっと由夏と打ち合わせてるんだけど、なかなか短くならなくて。あれも入れたい、これも話したいって。」


「悠・・・。」


「まぁ、本当にそんなことになったら、大顰蹙を買っちゃうってことくらい、式の経験者としては分かってますから、頑張って短くするけどね。」


そう言って微笑んだ悠の顔を見た途端


「悠!」


私は思わず、呼び掛けていた。


「どうしたの?」


驚いたような表情で、私を見る悠に


「今まで、本当にありがとう。」


私は彼女に言う。


「本当にどうしたの?急に。」


「感謝しかないんだよ、ふたりには。」


「加奈・・・。」


「高校時代、ずっとひとりぼっちだった私と友達になってくれて、卒業してからも変わらずに親友って呼んでくれて・・・。私が苦しんでる時、悩んでる時・・・いつもそばにいてくれた、寄り添ってくれた、応援してくれた。総一郎とのことだって、あなたたちふたりが助けてくれなかったら、励ましてくれなかったら、きっとうまく行かなかった。本当にありがとう。」


「・・・。」


「本当は由夏もいる時に言いたかった。でも、こんなこと言ったら、あの子はきっと照れて、茶化してくるから・・・。」


「ううん。」


「えっ?」


「由夏じゃなくても照れるよ、これは・・・。」


悠はそう言って、微笑む。
< 236 / 238 >

この作品をシェア

pagetop