Thirty’s
「加奈だけじゃないよ。」


首を振る悠。


「私だって、あなたと由夏に感謝してる。由夏だって、きっとあなたと私に感謝してるはずだよ。」


「悠・・・。」


「いろいろあったもんね。嬉しいことも悲しいことも楽しいことも辛いことも。パートナ-にも親にも言えないことだって、いくつもあった。でも、それをぶつけ合って、励まし合って・・・高校卒業してからはいつも一緒にいられたわけじゃない。まして、私が授かり婚してからは、会う時間もなかなか取れなくて・・・でも、会えなくても私たちはお互いがお互いを心の支えにして来た。それは絶対に間違いないよ。」


「・・・。」


「そして、それはこれからも変わらない。例え私たちが齢をとって、おばあちゃんになったとしても、絶対に。そうだよね、加奈。」


何よ、自分の方がよっぽど照れ臭くなること言ってるじゃない・・・思わずそんなことを考えてしまうけど、でも悠の優しい表情が、そんな思いを溶かしてくれる。


「私、楽しみにしてることがある。」


「えっ?」


「私のおめでたで、ダメになっちゃったヨーロッパ旅行。」


「卒業旅行?」


「うん。まぁ、まだ少し時間は掛かるけど、でもいつか必ず、三人で行こう。」


「そうだね。」


「だから、これからもよろしくね。加奈。」


「うん・・・こちらこそ。」


目にいっぱいの涙を湛えながら、私は大きく頷いた。


「じゃ、取り敢えず明日だね。」


「うん。」


「いいお式を。及ばずながら、私たちも頑張りますから。」


「ありがとう、よろしくね。」


そして、笑顔を交わして歩き出した私たちだったが・・・


「あっ。」


私は足を止める。


「どうしたの?」


「総一郎に電話しないと。」


「そうだよ。急がないと『いいお式』の前提条件が崩れちゃう。」


焦ったように悠が言う。


慌てて、スマホを取り出した私に


「徹くんに連絡して、彼からも塚原くんたちに釘を刺してもらう。」


悠が言ってくれるから


「お願い。」


頷いた私は


(本当に手が掛かるんだから・・・。)


思わず、ため息をついてしまっていた・・・。



[END]
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