Thirty’s
六月も半ばを迎え、今国会は延長もなく、当初の会期通り、間もなく閉会することがほぼ確実となった。そうなると、霞が関に集うキャリア官僚たちは途端にソワソワしだす。そう人事異動の時期になるからだ。


「係長とお仕事出来るのも、あと少しですねぇ。」


茉莉が名残惜しそうな声を出してくれるから


「そうだね、でもまたどこかで会うこともあるよ。」


ほぼ1年毎に異動を繰り返す私たちキャリアにとって、出会いと別れはいわば付き物。


「そうなると嬉しいですけど。で、今度はどこに行きたいですか?」


「希望を出して、通るわけじゃないけど、とにかくここは雑務や人間関係に振り回されるばかりだったからね。次はキチンと政策を遂行する立場になりたいよ。」


「同感です。私たち、その為に厚労省に入ったんですからね。」


大臣官房を経験することは、出世の近道とは聞くけど、正直私には、ここでの一年が建設的な時間だったとは思えなかった。


「とにかくあともう少し。『飛ぶ鳥、後を濁さず』は私たちキャリアにとっては、イロハのイ。最後の最後まで、気を抜かずに行こう。」


「はい。」


そんな言葉を交わすと、私たちはデスクに向かった。
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