Thirty’s
そうこうしているうちに、時は流れ、辞令発令の日がやって来た。この日の午後には、課長から該当者に辞令の通知が行われることになっていて、私たちのソワソワはいよいよピークに。
一見、みんな通常通りに業務をこなしているように見せていても、その耳目は、はっきり言って全て課長の一挙手一投足に注がれていると言っても、決して過言ではない。
そんな課内の空気を、課長も当然承知している。やがて、課長が封筒からおもむろに、紙を取り出したら、いよいよお待ちかねの時間の始まりだ。
「斎藤くん。」
呼ばれた人は、すっくと立ちあがると、課長のデスクに向かい、そこで口頭で異動先が告げられる。そして、自席に戻ると、周囲の人間に報告して、一喜一憂が始まる。そんなことを繰り返している内に、マメな人がそんな情報をメールで省内に流し始め、情報が伝播して行く。
そんな様子を、私は静かに見つめていたが、内心はやや呆然としていた。
呼ばれる名前が、いつの間にか係長クラスから係員クラスへ移っていた。なのに・・・私の名前は、まだ呼ばれていない。
(まさか、留任・・・?)
動揺を隠せなくなった私を、横から茉莉が心配そうに見ていた。
一見、みんな通常通りに業務をこなしているように見せていても、その耳目は、はっきり言って全て課長の一挙手一投足に注がれていると言っても、決して過言ではない。
そんな課内の空気を、課長も当然承知している。やがて、課長が封筒からおもむろに、紙を取り出したら、いよいよお待ちかねの時間の始まりだ。
「斎藤くん。」
呼ばれた人は、すっくと立ちあがると、課長のデスクに向かい、そこで口頭で異動先が告げられる。そして、自席に戻ると、周囲の人間に報告して、一喜一憂が始まる。そんなことを繰り返している内に、マメな人がそんな情報をメールで省内に流し始め、情報が伝播して行く。
そんな様子を、私は静かに見つめていたが、内心はやや呆然としていた。
呼ばれる名前が、いつの間にか係長クラスから係員クラスへ移っていた。なのに・・・私の名前は、まだ呼ばれていない。
(まさか、留任・・・?)
動揺を隠せなくなった私を、横から茉莉が心配そうに見ていた。