Thirty’s
結局、私の名前が呼ばれることはなく、また茉莉の名前が呼ばれることもなかった。
「今回の異動対象者は、明日以降、前任者と連絡を取り合い、引継ぎを行って下さい。」
課長の言葉が、ものすごく遠くから聞こえて来たような気がした。
「係長、元気出して下さい。」
肩を落としている私が、さすがに気の毒になったのか、茉莉が声を掛けて来る。
「・・・ううん、大丈夫だよ。」
そんな後輩に、笑顔で首を振って見せる。
「それにしても、私はひょっとしたら、もう一年あるかなっていう気はしてたんですけど、まさか係長が・・・。」
「そうだね。揃って残ることになるとは、さすがに思わなかった。」
「でも私は、係長ともう一年、ご一緒出来るのは、本当に嬉しいですよ。」
「私もだよ。取り敢えず、また一年よろしくね。」
「はい。」
気を取り直したように、明るく言った私に、茉莉はホッとした表情を浮かべた。
だけど・・・確かに誰もが毎回異動するわけではない。現に私だって、入省から二年間は動かなかった。でも、その後は毎年異動して来たし、この世界は、異動の数が出世のバロメ-タ-みたいな部分があるのは事実。そこから外れたことと、望まない部署から離れられなかったこと。その現実が、じわじわと胸に重くのしかかって来ていた。
「今回の異動対象者は、明日以降、前任者と連絡を取り合い、引継ぎを行って下さい。」
課長の言葉が、ものすごく遠くから聞こえて来たような気がした。
「係長、元気出して下さい。」
肩を落としている私が、さすがに気の毒になったのか、茉莉が声を掛けて来る。
「・・・ううん、大丈夫だよ。」
そんな後輩に、笑顔で首を振って見せる。
「それにしても、私はひょっとしたら、もう一年あるかなっていう気はしてたんですけど、まさか係長が・・・。」
「そうだね。揃って残ることになるとは、さすがに思わなかった。」
「でも私は、係長ともう一年、ご一緒出来るのは、本当に嬉しいですよ。」
「私もだよ。取り敢えず、また一年よろしくね。」
「はい。」
気を取り直したように、明るく言った私に、茉莉はホッとした表情を浮かべた。
だけど・・・確かに誰もが毎回異動するわけではない。現に私だって、入省から二年間は動かなかった。でも、その後は毎年異動して来たし、この世界は、異動の数が出世のバロメ-タ-みたいな部分があるのは事実。そこから外れたことと、望まない部署から離れられなかったこと。その現実が、じわじわと胸に重くのしかかって来ていた。