No Title

距離

夏休みなのに休みが全くないなんて不服だ。
終業式もあっさりと終わり、そのまま７月も終わってしまった。

あと一週間後に控えている大会に向けて部活は大忙しで。
夏休み入ってすぐ３泊の合宿に行きひたすらマネージャーとしてフル稼働をしていた私は、夏を楽しむ余裕がないまま８月になってしまっていた。



「それでその疲れ果てた顔なのね」

「まだまだ忙しい。今日だって、クラスの準備が息抜きみたいな気分で来てる」

「お疲れ」

「大会終われば余裕出来るから、絶対遊んでね涼子」

「言われなくてもお祭りだけは開けてるわよあんたのために」

「大好き」



週末は地域の大きな夏祭りがある。
去年も忙しかったけど、それよりも絶対に夏を楽しむんだと涼子と浴衣を着て出かけるのだ。

そのために部活頑張ってると言っても過言じゃないくらい。部員だって、夏祭りに行くために練習を詰めて夜は開けられるようにしてるくらいだ。




「涼子は何してるの？夏休み」

「ずっとバイトしてる」

「社畜だ」

「こんなに稼ぎ時なの学校がないときくらいだからね」

「ストイックすぎる」

「家にいたくないもの。職場にいるほうが楽しい」

「８月後半は私とたくさん遊ぶために空けといてよね」

「夜は開いてるから基本、呼ばれたら行く」

「大好き」