No Title



蒼伊はもしかしたら剛くんから涼子のことを聞いているのかもしれない。
涼子からは剛くんが涼子を誘う話ばかりきくけれど、涼子も剛くんのことを誘ったりしてるのかもしれない。

涼子は剛くんの話をしてもまともに返してくれない。
聞かれたくないのかも、って思うからそれ以上わたしも聞かないのだ。



「アイツほっとけねえからな」

「ぽいね」

「楽しそうだしいいんじゃね」

「うん、剛くんといるときの涼子って楽しそう」

「蒼伊もミサキちゃんもおせーよ!その速度なら日が暮れるわ!」

「誰が連れてきたんだよ」

「ミサキちゃんその隣のうるさいやつ引っ張って早足で!」

「はーい」

「はーいじゃねえよバカ」

「外暑いしとっとと終わらせないと部活いけないよ?」

「俺は別に部活いかなくてもいいんだよ」

「あー言えばこういうじゃん、ばーか」

「バカっていうほうがバカなんだよ」

「最初にバカって言ったのはそっちでしょ」



学校から歩いて行けるスーパーには、100均とホームセンターまでひとつになっていて、わたしたちのほかにも文化祭の買い出しであろう学生が結構いた。

必要なものを分担して買う前に、もう休憩だと言って4人でアイスを買って食べたり、やっぱり買い出し班のほうが自由にいれるしいいじゃんと思ったり。


ただ剛くんはしっかり者なので多少サボったら戻って作業しなきゃと立ち上がる。
涼子と蒼伊はそれにまた文句を言っていた。ふたりはなんか似ているところがあるかも。


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