獅子の皮を被った子猫の逃走劇
 「行くぞ」
 「はーい」


 放課後。
 折田先輩に連れられて行く場所は生徒会室。

 まあ生徒会室とは言っても、ここに集まるのは幹部の人達。

 今から所為、龍ヶ崎の会議が始まるのだ。


 「お疲れ様ですっ!」
 「おつかれさま」
 「……っす」
 「おつかれ〜」


 私の挨拶に返してくれた順に、
一ノ瀬先輩、川添 來斗(かわぞえ らいと)先輩、八重野 希良(やえの きら)ちゃん。

 この3人と折田先輩と私の、計5人が現在の龍ヶ崎の幹部である。

 私以外の全員が先輩にあたるため、初めの頃はとても緊張した。
 
 希良ちゃんも先輩なのだが、先輩後輩の関係を好まない性格で、失礼ながら敬称なしで呼ばせてもらっている。

 とても明るくフレンドリーな性格で、自分が男装しているのを忘れてはしゃいでしまいそうになるのが最近の悩みだ。


 ここに来て早1ヶ月。されど1ヶ月。

 まだまだ幹部の皆とさえ仲良くなりきれていないのが現状だった。

 気軽に話せるのは、希良ちゃんだけだ。

 折田先輩は、私のお世話係の役回りを担っているため、自然とふれ合う回数も多いけどよく分からない。
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