獅子の皮を被った子猫の逃走劇
 小鳥の囀りが聞こえる中、憂鬱な気分で道を歩く私。

 漫画やアニメであれば、私の後ろにはどんよりとしたオーラが見えるだろう。

 なんでかって?そりゃもちろん……

 私が今日から通う高校がヤンキー高校だったから、だ。
 しかも、ここら辺で有名な。

私が今居候している叔母の家の近くには、その高校しか無かったのだ。

 グッバイ私の華々しいJKライフ。

 生憎、常人の女子生徒は滅多に入学しないため、私の夢見ていた女友達と放課後に寄り道したり、学校行事でキャッキャウフフを楽しんだりは出来ないのだ。


 「はぁ……」


 鬱々とした気分とは反対に春の穏やかな風が私の髪を揺らした。慣れない短髪にそわそわしてしまう。

 それもそのはず。

 今私は、所為男装というものをしていた。

 なんでも叔母曰く、弱々しい女の子はなめられて痛い目を見るらしい。
 ……なにそれ、怖すぎる。

 そんな理由でウィッグを被り、真新しい男子制服で向かう戦場。


 「はは……」


 ナニコレ。流石に笑えない。

 ……なんで門に人積まれてんの?
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