獅子の皮を被った子猫の逃走劇
 「え、生きてる、?」


 何が起こったかよく分からない人のために説明すると、入学式に向かおうとしたらその高校の門に人が倒れて山積みにされている、という状況だ。

 そっと敷地内を覗いてみると、まだ数人争っているっぽかった。

 恐るべしヤンキー校。
この人間タワーの一員となってしまわないためにも、目立たず3年間を過ごそうと固く決意した。


 「裏側通れそう!」


 辺りを見回してみると、校舎裏に通り道を見つけた。

 巻き込まれたくないため、出来るだけ中央は歩きたくないのだ。


 ちなみに龍ヶ崎高校の敷地内の構図は、正門を入って左側に逆コの字型の校舎が、右側にグラウンドや体育館などの、各種学校に必要な設備が建てられている。

 真ん中には、それらに通ずる通路がある。

 ただ、道の脇に置かれてる花壇が踏み荒らされて、無惨な風景だけど。

 龍ヶ崎に植えられてしまったがために、ああなってしまった花たちを不憫に思いながら歩き出す。


 兎にも角にも、私は安全そうな校舎裏を通り、目的地である体育館へ向かうことにした。


 「入学式に出たいだけなのになあ……」


 安全に入学式に出るだけでも一苦労なんて、先が思いやられるなー。
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