獅子の皮を被った子猫の逃走劇

何かがおかしい




 どうも、平凡な女子高生(男装中)の桜庭獅音です。

 そうです。
 先日、虎月とエンカウントしたり、先輩の前で年甲斐もなく大号泣かましたあの獅音です。


 見事に私の黒歴史として刻まれた大号泣のあと。

 ……なんかよく分からなかった。


 というのも、

 怪我をそのままに歩き出す先輩を半強制的に、私の家――滞在先の叔母の家に連れてきたのだ。

 看護師している叔母は、夜勤のため家にはいなく、実質二人っきりだった。

 とりあえず折田先輩を私の部屋にあげて、救急箱を私は探し出し、先輩の応急処置にあたった。

 のだが、そこで問題があった。


 それはあの折田先輩の様子がおかしいということ!

 はじめは、いくらヤンキーでも人の家は落ち着かないのかなーなんて考えていましたとも。

 でもあれは絶対そうじゃない。

 借りてきた猫みたいに、私に言われるがまま治療させてくれるし。

 私のこと見て、よく分かんないことブツブツ言ってるし。

 終いには、家の人はいつ帰ってくるんだ!だの、ほいほい男を家に入れるな!だの。

 何だ何だ?と思ってた私、気づいてしまいました。


 折田先輩……私が本当に男なのか怪しんでるんだ!!

 多分見られた。

 私の部屋の大きいテディベアを……。

 あんなの絶対男部屋にないもん。


 「あー、やらかしたー」






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