獅子の皮を被った子猫の逃走劇


 「あっ!」


 突然の突風で、弁当箱をくるんでいたランチクロスが飛んで行ってしまった。

 急いで手を伸ばしたものの、あと少しのところで届かず。


 「ごめん希良ちゃん!ぼく、取りに行ってから帰るね。今日はありがとう」
 「わかったー」


 希良ちゃんにそう伝え、急ぎ飛んで行った方に向かう。


 「こっちに飛んでったような……?」


 そこは懐かしの校舎裏で。

 結局あの後、蛇のヒバカリさんは逃がしてしまったけど、もしかしたらいるかなー?なんて期待したり。

 どこかワクワクしながら歩いていると、ランチクロスの端が角に見えた。


 「う、うそ……」


 角を曲がった先には、信じられない光景が広がっていた。


 それは、

 あの折田先輩がいっぱいの猫ちゃんに囲われてる光景。

 しかもとても穏やかな表情で。

 ……なにこれ、幻ですか?

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