獅子の皮を被った子猫の逃走劇

こんなはずじゃなかったのに!

 後者の裏側は比較的、というか断然静かだった。

 少し塀を越えてくる木や伸びきった雑草などが通行を阻んでくるが、逆に言えばそれだけなのだ。

 あと少しで校舎裏を抜けるという時にそれは起こった。


――ボトッ


 「わあ!蛇っ!」


 どこからともなく落ちてきた蛇は私の肩にそれは綺麗に乗った。


 ――なにこれ可愛すぎる!!

 実は私は大の爬虫類好きなのだ。
 今落ちてきた蛇はたしか、ヒバカリという名前の蛇だったはずだ。

 この蛇は比較的小型な方で毒を持たず大人しい性格をしている。

うぅ、シュッとしているのにこのきゅるきゅるとした瞳がたまらなく可愛い。

 ヒバカリは水田があるとこによくいるため、もしかしたら近くにあるのかもしれないな、なんて考えながらヒバカリさんをめいっぱい愛でさせてもらった。

 すると奇しくも、ヒバカリさんの方も私を気に入ってくれたようで首元に潜り込んできた。

 なにそれ可愛すぎませんか??

 一瞬悩んだものの、すぐに連れていこうと決めた。

 だって、ヤンキー校だもん。
 蛇の一匹や二匹連れていたって文句は言われない、はずだ。

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