獅子の皮を被った子猫の逃走劇
逃げも隠れもする
「っ……、おはようございます、」
「はよ」
三連休が開けて、最初の学校。
あの雨の日の出来事のせいで、勝手に折田先輩と会うの気まずいなーなんて考えながら歩いてたら、
校門前で鉢合わせちゃいました。
最近の私、フラグ回収率高すぎる……!
「なあ、」
「は、はい!どうしました?」
「お前って姉妹いたりする?」
「え?兄しかいませんよ」
「ふーん」
突然話しかけられて、身構えるも、投げかけられた問いはよく分からないことで。
折田先輩の思考回路はよく分かんないなー。
「……」
「……」
そして流れる沈黙。
沈黙に耐えられず、階段を登る足が知らず知らずに早くなる私。
「っ!」
「あ、わり」
不意に折田先輩と手が触れ合ってしまった。
たったそれだけのこと。
なのに、体中の血液が全部顔に集まってるんじゃないかって思うほどに熱くなって。
頭が混乱しかけた時、正に頭に冷水をかけられたような気分になった。
それは、あの雨の日の先輩の姿を思い出してしまったから。
先輩……、腕組んでたな……。