獅子の皮を被った子猫の逃走劇
終礼の鐘が校内に響く。
……時間だ。
今日一日、授業時間も休み時間も使って腹をくくった。
他から見たらもう戦国時代の武士ぐらいの面構えになってるはず。
刀ブンブン振り回せるよ私。
生き物の思い込みの力って凄いんだからね。
そう己をマインドコントロールしながら階段を降りていると、不意に勢いが止められてしまった。
驚いてそっちを見ると、折田先輩が私の二の腕を掴んでいて。
「やっと捕まえた、!」
「っ!折田先輩、離してください!」
「嫌だ、ぜってえ離さねえ」
ここまできたら俺の勝ちだとでも言わんばかりのしたり顔の先輩。
久しぶりに面と向かって話した、っていうのも手伝ってとてもかっこいい……。
顔見るの有料ですか?って思っちゃうぐらいに、輝いて見える。
そこまできてハッとする。
思わず先輩の顔に見惚れてしまっていた。