獅子の皮を被った子猫の逃走劇

約束(⚠)



 コツ、コツ。

 硬く、ざらざらとしたコンクリートの上を歩く音が反響する。

 薄暗いガレージの中は少しホコリっぽくて、肌に触れる空気がやけに乾いていた。


 時刻は17時20分。

 あの"約束"の10分前だ。

 指定された場所は、廃工場群の一角にあるガレージだった。

 てっきり、あの手紙を入れた人が待っていると思っていたけど、人の気配はなかった。


 ……このやけに人気の無い感じ、デジャブだなー。

 なんて思いながら周りを警戒しつつも歩いていると。


 ーーガツッ


 いきなり後頭部に強い刺激が走った。


 後頭部が燃えるように熱い。
 視界はぐしゃりと歪み、そしてすぐに意識は遠のいていった。



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